幼少期の悩みと現在の悩みの変化について

幼少期の私の悩みはもっぱら「友達ができない」ことであった。

コミュニケーションのとりかたがよくわかっていなかった。友達は勝手に出来るものだと思っていたらできなかった。

なにを話せばいいのか分からない。どうすれば友達ができるのか分からない。誰も教えてくれない。

友達がゼロだったわけではない。しかし絶対に多いとは言えなかった。それが強い強いコンプレックスだった。

本当にそれが私の世界のすべてだった。みんなみたいにすぐ仲良くなったりできない。劣等感を常に抱えていた。ただ、自分が苦しいだけで害はないものだったからそのまま何事もなく大人になりたいとおもった。将来は誰とも話さなくて済む職業につこうと思っていた。

しかし、中学二年のときにいじめにあった。

しゃべらないブスは嫌いという理由だった。

あぁ、生きるためには話さなくてはいけないのだと思った。

そこからとにかくしゃべるようにした。必要な会話かどうかなんて考えず、とにかくしゃべった。そしたら中学三年のときは明るい子とも暗い子とも仲良くなった。いじめられることはなくなった。学校が楽しくなって、初めて「明日がはやくこないかな」と思った。

でもまた高校になって、人間関係ゼロからのスタートになった。友達は１，２人はいたがずっと自分と行動を共にしてくれる子はいなかった。弁当はひとりで食べていた。きつかった。

中学で学んだ「とりあえず話しかける」も実践してみた。でも上手くいかなかった。会話が続かない。

ずっと自分を偽っている感覚があった。この教室にいる人誰も私を知らない。苦しくてしようがなかった。

このままだといけないと思って、自分からいろいろ動くようになったし、「自分」を少しづつ出していった。高校三年になるといつのまにかめちゃ仲良い友達ができた。

途中で私はなぜ「友達がいないこと」がこんなに苦しいのだろうかと考えてみた。一匹オオカミの子だっていて、でもその子は苦しそうじゃない。

私は誰かとコミュニケーションをとりたいのだ。とりたいのにとれない、それが苦しいのだと気づいた。勝手に私は本当は誰とも話したくないけどいじめられるから話そうとしてるんだと思ってた。

「友達になる」が先行しすぎて、好かれる自分を探してた。でも本当は「コミュニケーションをとりたい」と思っていたのだ。

「友達ができない」という私のコンプレックスは収束しつつあった。もちろん友達が増えたわけではないが、自分に合う人はいるにはいるのだと知って、そしてその数は少ないことを知った。昔は誰とでも仲良くなれるひとが理想であったが合う合わないは必ず存在していて、今までのそれを無視しようとしていたのだ。誰かに好かれる自分を作ろうと必死だったが、そんな人間と友達になりたい人なんていない。

自分に正直に生きることが、友達をつくるのに一番の近道なのだ。そしてその自分に合わなかったらしょうがない。ただそれだけ。ただそれだけのことに気づくのに18年かかった。長かった。

大学に入って、最初はやはり友達ができす辛かったが、大学は集団行動がほとんどなくってひとりでいることになんのひけめも感じなくなった。また様々な人がいて、自分みたいな変わり者もたくさんいて、偽らない自分のままで友達ができた。

私はやはり人間に興味があったようで、いろんな人に話しかけまくった。今までのような「友達をつくらなきゃ」ではではなく「相手を知りたいから」という理由で。

生まれて初めて「友達ができない」という悩みから解放された。

こんなにも楽な時期はなかった。

ただ、その後新しい悩みがでてきた。「自分の能力について」だ。

小中ととにかく勉強はできた。勉強は嫌いだったが授業受けて宿題やれば全部分かった。ドリルとかやり忘れた時、周りの子が「答え写せば今からでも提出間に合うよ？」と言ってきたが、「いや、自分でやった方が早い」って言って実際に終わったくらいだった。

高校は進学校にいったため、今まで通りの「授業受けていればいける」が通用しなくなった。学校も楽しくなくて勉強する気もおきなくて成績は低迷したがそれでも真ん中くらいだった。

第一志望の大学は落ちた。でも妥当だなと思った。それほどまでに行きたいという強い思いもなかったから。後期でほぼ確実だった地元の国立に入った。

だから勉強面で全く苦労したことはなかった。全ての悩みはコミュニケーション能力についてで、それから解き放たれた今、それ以上の悩みなんて出てこないと思った。

しかしバイトを始めて、自分の能力の低さに愕然とした。今まで言われたことをしていればよかったが、自分で考えて動かなければならない環境に、ただただ戸惑った。沢山ミスをした。

「仕事ができない」「ミスが多すぎる」という悩みがでてきた。

しかしそれでも何年も続けて、さすがに業務にもなれたし、元の自頭が良かったからか後半はすごく様々な仕事ができるようにはなった。

ただ、咄嗟の判断とか、二択を選択する状況はいつも上手くいかなかった。

自分のミスを隠そうとしたり、100点（失敗率7割）・５０点（失敗率0割）の二択の時に100点を選んで失敗したり。

あとひとの話が理解できないときが何度もあった。どうしたって何を言ってるか分からない。なぜ。

大学中ADHDという言葉を知って「私これに近いな、、、」と思った。昔から授業を真面目にきけなかった。ずっとボールペンの分解したり落書きをしていた。人の説明も聞き流しちゃうタイプで、小論文の模擬テストをやったときも、テスト用紙には小論文を今回書く用のマスと、添削が帰ってきたらやり直す用のマスがあったんだけど、何にも話を聞いてなくて、「長いな」と思いながら両方のマスにぶっ続けで小論文を書いてしまったことがある。添削が返ってきたとき、やり直しのマスが埋まっている私だけもう一枚用紙がホッチキスで止められていた。もちろん点数も最悪だった。論理的な思考もできなくてひどい文だった。私より低い人いるのかってレベル。恥ずかしかったけど笑い話にできる友達もいなくてつらかった。

現在就活中。社会人になれる自分を想像できない。

ADHDという言葉を知ってしまったせいで、一層自分が社会不適合者であるにちがいないという考えがぐるぐる回っている。

診断したことはないし、もし診断があったとしても軽度なものだと思う。

それでもずっと考えてしまう。

まだ働いて失敗したわけでもないのに。働く場所すらわかってないのに。

頭では分かっている。とにかく就活を先に決めて、働き始めてから悩めと。

でも考えてしまうのだ。

コミュニケーションという悩みを終えたのに、同じくらい重い悩みがまた出てきた。

幼いころとは求められるものがまた違ってくる。

また年を重ねたら新たな悩みが出てくるのだろうな。

楽になりたいなぁ、死ぬとかの意味じゃなくて。